堆肥は大規模でも小規模でも作れます
・腐葉土と堆肥
腐葉土と堆肥、どちらも保水と排水に富み、
土をふかふかにしてくれる上に、保肥性もあるという優れものです。
どちらも堆積したものが発酵した土のことですが、
この2つの違いは、簡単に言うと原料の違いです。
腐葉土......落ち葉が堆積し、発酵したもの。
堆 肥......落ち葉だけでなく、動植物性の有機物が堆積し、発酵したもの。
腐葉土は落ち葉だけで作ることができるので、
落葉樹をたくさん育てている家では、
庭掃除をした後に落ち葉を積み上げていけば、
腐葉土を作ることができます。
堆肥は落ち葉だけでなく、
動物の糞や家庭で出る生ごみなどから作ることができるので、
家庭ゴミの削減に役立てることができます。
■堆肥の作り方|基本編
堆肥を作るのは、大変そうだし臭いが出るのも嫌。
そもそもそんなに広いスペースがない、という方も多いと思います。
しかし、ポイントを押さえれば、作り方は難しくありません。
堆肥を作るために積み上げる順番の基本は、
・有機物(落ち葉、わら、生ごみ)
・発酵資材(油かす、米ぬか、鶏ふん、ぼかし肥、硫安肥料、土など)
この繰り返しです。
有機物20㎝と発酵資材2㎝の層を作り、
適度の水分 (50~60%、湿っているくらい) を補って分解を促します。
分解のときの発酵熱(60~70℃)を維持し、
逃げないようにするのがコツです。
また、落ち葉やわらを使うときには、
空気を抜くために踏んだり重しを置きます。
熱が上がり冷めたら、「切りかえし」をし、
これを2~3回繰り返します。
夏場で2~3か月、冬場で7~9か月ほど経って、
材料が崩れてきたらできあがりです。
堆肥の作り方 有機物20㎝と発酵資材2㎝の層を作り、水分を補い切りかえします
■堆肥の作り方|家庭詳細編
有機物は、動物性由来のものなら鶏糞や牛糞などですが、
一般家庭では手に入らないこと有機物も多いですし、
臭いも気になるということであれば、家庭で出た生ごみがおすすめです。
野菜の皮やクズ、卵の殻など、
生ごみは生活していれば必ず出るものですので、利用したいですね。
また堆肥を作る上でのポイントもあります。
1.生ごみは乾燥させる
一口に生ごみといっても、日によって出る生ごみは様々です。
基本的には野菜の皮やクズ、卵の殻が多いと思いますが、
たまに魚や肉も生ごみになることがあります。
魚や肉は堆肥化させるのに時間がかかる上、
臭いが発生する確率が高くなるので、できれば避けたいです。
野菜クズや卵の殻は、肉や魚よりは臭いが発生しにくいです。
また、堆積させる際には、必ず一度干して乾燥させ、
できる限り細かくしておくようにしましょう。
水気が残っていると、発酵しにくくなってしまい、
環境が悪いと腐敗の原因になります。
また、細かくすることで発酵が進みやすくなるので、
天気の良い日にザルなどで一度干したものを、
細かくしてから堆積させましょう。
サクラ、ケヤキ、クヌギの落ち葉やわらを入れると良い堆肥ができます
2.発酵資材とは
発酵資材とは、簡単に言うと肥料の素のようなものです。
すでに動植物性の有機物を発酵させたもので、
これを少量入れることにより、発酵が促されます。
具体的には、油かす、米ぬか、鶏ふん、ぼかし肥、硫安肥料などです。
必ず入れる必要はありませんが、堆肥を作り始めて間もない頃は、
発酵をすすめる菌が少ないので、入れておいて損はありません。
米ぬかも発酵を促進させる効果が期待できるので、
簡単に手に入る時は入れてみましょう。
3.切りかえしの方法
堆積させたものを上下し、混ぜて新鮮な空気を入れる作業です。
堆積させてから1週間~1ヶ月の間隔で行いますが、
期間は堆積させたものの量によります。
堆肥化させる上で、
その過程の状態を「発酵」と「腐敗」に分けますが、
どちらも菌が堆積物をエサとして増えている状態です。
では何が違うかというと、それぞれ菌の種類が違います。
新鮮な空気を好む菌(好気性)が繁殖している状態を「発酵」、
空気を嫌う菌(嫌気性)が繁殖している状態を「腐敗」としています。
腐敗しているからといって失敗というわけではなく、
ドブのような悪臭がしていても肥料にならないわけではありません。
けれど、庭で使うのであれば、腐敗臭の少ない、
上手に発酵できた堆肥を使いたいものです。
そのために必要な作業が、切りかえしです。
堆積させたものを混ぜて新しい新鮮な空気を入れることで、
嫌気性の菌が減少し、好気性の菌が増殖します。
4.発酵液の利用
堆肥化が進むと、発酵することで出た水分が下方に溜まります。
この発酵液には多少の臭いがあります。
また、発酵液が外に出ないようにしていると、
水分がいつまでも溜まったままになり、
これも発酵が遅れる原因になります。
堆肥を作る容器は、発酵液が下から出るようになっているものを選ぶか、
自作する場合は底に発酵液が抜ける穴を作りましょう。
排出された発酵液は、水で薄めて液体肥料として利用できます。
5.蓋付き容器
堆肥を作っている間、余計な水分を中に入れないようにします。
庭などで堆肥を作る場合は、ビニールシートをかけます。
余計な水分を入れてしまうと、発酵が遅れ、腐敗してしまうことがあります。
また、直射日光も避ける必要があるので、
堆肥を作る時の容器は蓋付きのものを選びます。
市販のコンポストも多くありますが、ペットボトル、バケツなどでも、堆肥は作れます
■堆肥の作り方|容器編
堆肥を作るための入れ物は、
市販のコンポストや生ごみ処理機など、
大型容器ではなくても、だいじょうぶです。
土や有機物を重ねることができ、
底から発酵液が出る蓋付きの容器であれば、
どのようなものでも利用可能です。
・ペットボトル
2リットルサイズの大きなペットボトルであれば、
少量の堆肥を作るのに適しています。
また、汚れたり使い勝手が悪くなったら、
すぐに処分できるのも魅力です。
同じ形のペットボトルを2本用意します。
① 1本は、底から三分の一くらいの高さ
(ペットボトルの頭から肩までと同じ高さ)でカットします。
② もう1本は、底を切りとり、フタをはずした状態で
①のペットボトルに逆さにセットします。
③ ②のペットボトルの底にストッキングや不織布などをカットして敷き、
土などが落ちないようにします。
④ 土→生ごみ→発酵資材(油かす、米ぬか)→土の順番に堆積させます。
⑤ 新聞紙などをフタ代わりにかぶせ、虫が入らないようにします。
⑥ 直射日光と雨の当たらない場所で発酵を待ちます。
⑦ 時々かき混ぜて新鮮な空気を入れます。
ペットボトルはカットした箇所が切れやすいので、
テープなどを巻いておきましょう。
切りかえしを繰り返すうち、
生ごみの形が見えなくなったら1次発酵は終了です。
1次発酵の終わった堆肥を土と混ぜ、
その後1ヶ月ほど熟成させたら堆肥の完成です。
・フタ付ゴミ箱
フタ付のゴミ箱であれば、ホームセンターで簡単に手に入りますし、
サイズも色々と選べるので、スペースに合ったものを用意できます。
ただし、コンポストボックスのような発酵液を排出する場所がないので、
堆積させる前に、ゴミ箱の底に穴をあける必要があります。
キリであけただけでは、穴が小さすぎてすぐに詰まってしまうので、
ハンドドリルなどを使って直径1cm以上の穴をいくつかあけます。
堆肥の作り方と、その後の熟成の仕方はペットボトルの堆肥と同じです。